遺伝子のDNAメチル化解析について
DNAメチル化解析とは、DNA塩基の中でメチル化されている箇所を解析することです。
DNAの延期にはアデニン、チミン、グアニン、シトシンの4種類がありますが、このうちシトシンについては修飾されてメチル化していることがあります。
この生物学上の意味合いは多岐にわたっているのですが、遺伝情報であり生き物にとって非常に重要な遺伝子が修飾されるわけですから興味深いものが多く含まれています。
単純に言って、メチル化された部分があるとタンパク質への翻訳に影響を与え、本来出来上がるはずのタンパク質が作られなかったりするわけで、ほんの少しのことが大きな結果の差を生み出すことになります。
例を挙げると、メチル化された部分の遺伝子はがん抑制遺伝子であったりします。
何事もなく正常にタンパク質が作られていると、そのタンパク質はがんの発生を抑制する働きを持っており、つまり何かの拍子でがん化が起こりそうになっても初期の段階で押し留めることができるわけです。
しかしそこにメチル化が起こると話は別で、タンパク質が作られなくなっていわばお目付け役が不在の状態になってしまいます。
これ自体ががんを発生させるわけではありませんが、別の要因によって起こるがんを抑制することがもはやできません。
実際にはもっと巧妙なことが起こっており、ある種のがん細胞は、自分自身を抑制するような働きを持つがん抑制遺伝子をあえてメチル化することが知られています。